この度、六本木ヒルズのすぐ近くにある去年オープンしたばかりの画廊、GALLERY MoMo (ギャラリー・モモ)
で、個展を開催することになりました。ギャラリー・スペースでの発表は、丸2年ぶりとなります。今回個展を開
催するGallery MoMoのオーナー・杉田さんは、美術コレクターから画商に転身された方で、アート作品を買っ
て所有する楽しみをよくご存じの方でもあります。これからアートを自宅にという方は、ぜひ相談してみてくださ
い。よりお客様に近い立場で、いろいろアドバイスしてもらえると思います。そういう画廊ということもあって、
今回は、今年3月から5月にかけてマガジンハウスの月刊誌「Casa BRUTUS」に掲載された3作品をはじめ、
アート初心者の方でも、身近に感じていただける比較的小さなサイズの作品を数多く展示する予定です。

今回の展覧会は、くつろぎ、安らぎや心地よさをテーマにしています。ストレスの多い社会に生きる現代の人た
ちに、くつろぎや安らぎを与えることもアートの効用ではないでしょうか。本展をご覧になった方がゆったりとした
気分を取り戻し、この問題の多い不安定な世の中に立ち向かっていく力を少しでも蓄えていただければと願っ
ています。そして、そこから生まれてくる精神的ゆとりが、他者への思いやりや愛情へとつながっていくならば、
それはとても素晴らしいことだと思います。

本展をご高覧いただき、ひとときでも、「リラックス」した気分を感じていただければたいへん嬉しく存じます。





作品「キミドリの部屋」は、幼い頃に使っていた私の子供部屋が、モチーフです。黄緑色は、私の遊び場だった
じゅうたんの色です。そこで絵を描いたり、粘土で人形を作ったり、ダンボールの家を作ったり・・・。何ができる
のか、初めての体験にわくわくしながら、いろいろなものを作りました。初めての行為とは、とても印象の深く強
いものであると思います。そして大人になるにつれて初めての体験のような感覚は、なかなか少なくなります。
子供の頃の極めて限られた行動範囲のなかで、自己の世界を完全に信じられる時間は、幼少期、それもとても
小さな頃に限られたことだと思います。その時期にしかない痛烈に感じることのできない動物的ともいえる強
さ、鋭さがあり、下手や上手の基準は純粋に自己の感性にまかされているものでした。大人になり知識を吸収
し、本格的に美術を志そうとするなかで、ふと自分の表現すべきものを見失った時、私は、その<キミドリの部
屋>に助けられました。私の記憶のなかにあるその部屋は、「好きなように描けばいいのさ。あの頃のよう
に。」と、私自身を励ましてくれるようでした。